意思決定のゴミ箱モデル

ガービッジカンモデルの備忘録答えはすでにある。

うちのおじいさん①

墓参りには良く行く方だ

 

というのもよく使う道から見下ろせる場所にあり

花が枯れているのが目に入るからだ

 

そういうわけで花を交換しに

最近も行った

 

だからじゃないが昨晩は

そこに入っているおじいさんの事を思い出した

 

おじいさんは入院していた

このところ良くないと母からきいていて

会いたいともらしていたそうだ

おじいさんは私をかわいがっていたと思う

初ひ孫がいたこともその要因だったと思うが

純粋に相性が良かったと思う

まぁ家族だから当然だが

 

おじいさんは終戦時に

シベリアに抑留されていた

その話もよく聞いたが

若い私はメモを取っていなかったので

覚えるわけでもなく…おしいことをした

ただ、空腹で森に生えてるよく分からん

キノコをこっそり食べたがなんともなかったと

言っていた

人間極限になれば毒とかそんな事を

超えるんだなと笑った

 

結婚してからは実家を出たが

たまにおじいさんと食事に行ったり

伊勢神宮に旅行したりした

シベリアを生き抜き大した生命力を持つ

おじいさんは痛みに強い人だった

そのおじいさんも病人になる年齢になった

おじいさんの生命力は元々のものであり

シベリアで消費してしまったので

死期が近くなったんだろうと思う

 

 

そのおじいさんが病床から

会いたいと言っていたそうだ

子供の習い事のタイミングで病院に行った

おじいさんは横になりすっかり

病人になっていた

 

妻が

分かりますか?

と声をかけたら横になりながら

当たり前だ!

と言った

足はすっかり浮腫んでいた

妻は足をマッサージし

子供達はおじいさんを囲んだ

ひとしきり面会を終えた

別れ際に私は家族を病室から出し

二人きりにした

二人になりたいと思った

横たわるおじいさんの手を起こし

強引に握手して声を掛けた

なんと言ったかは忘れてしまったが

おじいさんはしっかり握り返した

また来るよ

と言って病室を出た

 

その深夜、実家から電話があり

おじいさんは亡くなったと知った

面会してからおよそ6時間後だ

慌てて葬儀屋に行った

まだおじいさんは来ていなかったが

親父と母とがいたので

昨日の面会の話をした

死ぬ前にしたかった事が

私に会うこと

だったのだろうか

程なくおじいさんが運ばれてきた

 

私はおじいさんに触れた

まだ温かい

数時間前に握手した手には

もう力はなかった

ただ温かいだけだった

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